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2010年10月4日月曜日

次善の策に過ぎない政治

私は思ったことは口に出してしまう性分なのですが、文章を書くにあたっては頭の中でアレコレ考えてから取り掛かるほうが多いです

だいぶ前から感じていたのですが、確信したことを述べたいと思います

自民党の最大の失政は、野党を育てなかったことです
野党を育てなかったがゆえに、国民の政治の理解が乏しく、また投票率からも分かるとおり参画意識も薄い

どういうことか

野党を育てなかった、とは現在の民主党の無為無策ぶりを見ればおおよそ分かると思いますが、民主党に限らず建設的な議論を交わすための基本的な知識が(国民を含めて)この国になく、せいぜいが新聞のスキャンダルをそのまま国会ないし予算委員会などの各委員会に届けるていどのことしかできない野党(国民)を許してしきた、そのことが自民党の最大の失政だと思えてならないのです

そのことが現在の日本の迷走ぶりをきちんと国民が理解できていないことにも現れていると思います

すぐさま大問題に発展しかねない領土問題を抱えている日本が、安全保障の議論をないがしろにしていることを、同盟国のアメリカはもちろん周辺国は不思議に思っていることでしょう

そんな政治欠陥に、当の日本人はまるで気づいていない


自民党が先の衆議院選挙で大敗した理由は、国民に「自民党にお灸を据える」などという上から目線の意識が潜在化にあったと思います

自民党がダメだからじゃあ民主党に投票しよう、という政見のない「次善の策」からの、消極的選択です

もともと民主党は反自民連合としての性格が色濃く、党のカラーといえる「保守」や「リベラル」といった住み分けもされていないため、そういった意味では「自民反対票の受け皿」として十分な選択理由があったようにも見受けられます

しかし先に述べたように党としての定見がないだけでなく、自民党からの流出議員を無節操に登用するなど、国民の信任を裏切る行為も目立つ、そんな党を選択したのです

そして今、菅氏がダメだからと言って今度は小沢氏に鞍替えしようとしていることは、本当に苛立つほどの焦燥感を覚えてしまいます

民主党総裁選にあって小沢氏がテレビなどで雄弁を振るっていますが、自民党に所属していたときに知識の下地を培ったことが支えているだけです

菅氏は決して有能とは思えませんが、それでも小沢氏のあまりにもキナ臭い身辺情報は「菅がダメだから」と安易に転向できる次善の策ではありません



日めくりカレンダーのごとき政権 

安倍晋三政権の頓挫は、自民党内の調整が立ち行かなくなったことでした
そのことから、かつて官房長官として党内調整に功績のあった福田康夫氏が次の総理になりました
(前代未聞の調整型総理です)

やがてそれも行き詰まり、今度は麻生太郎氏が総理になります
政局より政策として解散総選挙に臨まなかったのは、英断だったとは思いますが今となっては自民党をさらに「ぶっ壊す」結果につながったと思います

実力者によるイス取りゲームに過ぎない、この日めくりで捨てられる政権に国民は嫌気が差しました

そこで国民に残されていたカードが「民主党」「公明党」ないしその他の泡沫政党しかなかったのは悲劇だったと思います

特に自民党は保守としての政党でしたから、そこから公明党に票が流れるのは考えがたかった
つまり民主党に自民党票が流れることは、今だから言えるけれど自明の理でした

そこで民主党の持つ危うさに気づいていれば、現在のような勢力図にはならなかったはずです

民主党は「国民の生活が大事」「クリーンな政治」をうたって自民党との違いを強調していましたが、私に限らず政治を少しでも知っていた人たちにとっては周知のとおり、内実は「自民党と変わらないもの」でした

その中でも、(「保守」とか「リベラル」とかはさておいて)大多数が国益のために政治を行っていた自民党を、侮蔑しながらでも叩きつづけてガバナンス(規律)を保つことが、最も現実的で冷静な判断だったと思います

今、自民党は疲弊しきっており、すでに政権の座に戻れるだけの勢いを失っています
ですので「また自民党に復権してほしい」とは口が裂けてもいえません

それに政治が止まったままなのに日めくりカレンダーだけが淡々とめくれて進んでいくことも虚しいと思います

麻生氏が総理だった自民党政権末期のころ、漢字の間違いすら「とりあえず叩いとけ」という世論があったのは、野党を増長させる要因のひとつだったと思います

日本人全員が、菅政権に是々非々で臨んでいくことが必要なのではないでしょうか


さて、いつもの皮肉を思い出しながら、まとめとこれからの課題を列挙します

今、取り組まなければならないこと、それは政治です
まかり間違っても政局ではありません

小沢氏の辣腕ぶりを指して「今の日本には彼のような政治化が必要だ」などという論調がありますが、私はきっぱりと否定します

小沢氏はそもそも、政局にしか興味がありませんでした
だから自民党を抜けてから、(ブランクがあったとはいえ)民主党に入党することも抵抗がありませんでした

資産の運用については造詣が深いようですが、関連して秘書が3人も逮捕されたり起訴されたり、また検察の捜査においても説明が二転三転したりと、法令遵守のための手順にはあまり興味がない様子

なにかと疑惑の多い小沢氏ですが、総務大臣の原口氏が彼を擁護して「推定無罪の原則が民主主義の鉄則だ」などと言っています

「推定無罪」

これは刑事事件についてはそのとおりですが、こと清廉さが問われる議員においてはその限りではないことは、民主党がこれまでよその党を徹底的に糾弾してきたことからも明らかです

国会議員に良識を求めることは重要ですが、ここはやはり国家公務員倫理法に準じた厳しい制限を国会議員にも設けて、仕組み的に反社会的行為をできないようにすべきではないでしょうか

そうした上で、まずは国会議員のひとりひとりが政治を行っていることを監視する必要性を、今後は真剣に議論する必要があると思います

アメリカでは国会議員になるまでにそうとうな論戦があるといいます
一方的にしゃべりまくるだけの日本と違い、激論で戦わせることで候補者の真価を見極めるのだそうです

なるほど確かにアメリカの議員は一家言あり、自分の意見を裏付ける論拠にも通じているイメージがあります

ところで日本では引退した政治家の子どもが、下積みもなしに政界入りすることも珍しくありません

世襲それ自体が悪いのではありませんが、なんの実績も理念も信条もなく、昨日まで政治とは無縁の会社員生活をしていた人物が政治家を目指すのは違和感が否めません

実績も理念も信条もない人物が政治家になるのを許してきた日本人は、もっと慎重になるとともに一票の価値をみずからに問う姿勢が求められるでしょう

と言っても政治の世界を知るには一朝一夕ではままなりません
私も親の影響で学生の頃からニュースを見続けていますが、ここ数年でなんとか全貌が見えるようになってきたかな?くらいで、まだ場当たり的です

政治を見続けると同時に大事なのは、投票に出向くこと、そして何よりも、投票だけで満足せずにそのあともきちんと監視し続けることです

その候補者が何を目指し、何を理念、信条としているか
きちんと見極めながら貴重な一票を有意義に使ってほしいですね

あまりまとまりませんが、今日は最後にボケて落とすのではなくて、真面目に締めたいと思います

これは私がつねづね思っていることで、国民を代表する政治家が決して錯誤してはならない大原則だと考えるものです



政治家とは青二才でも構わない
だがその心身は清廉でなければならない



2010.9.8

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