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2010年10月9日土曜日

実在する「チャイナ・リスク」へのそなえは日本にないようだ

本題の前に、このニュースから...

中国がフジタ・高橋さん解放…拘束は中国人船長と同じ19日間
サーチナニュース 2010/10/09(土) 18:08
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=1009&f=politics_1009_005.shtml

河北省石家荘市の国家安全局は9日、軍事管理区に無許可で進入して撮影をしていたとして、身柄を拘束して取り調べを続けていた日本の準大手ゼネコン・フジタの社員の高橋定さんの「居住監視」を解く決定をしたと発表した。高橋さんは手続き完了後、「監視居住地」を離れたという。中国新聞社などが報じた。

海上保安庁が尖閣諸島沖合の日本領海内で操業し、同庁巡視船に自船をぶつけたなどとして、中国漁船船長を逮捕したのは9月7日。那覇地検が釈放を発表したのは同24日で、実際の釈放は25日未明。一方、高橋さんから「助けてほしい」との携帯メールがあったのは21日で、同日に身柄を拘束されたとみられる。釈放されたのは10月9日。

中国政府は、漁船船長の逮捕と高橋さんらの拘束は「無関係」と説明していたが、身柄拘束の日数は、どちらも「あしかけ19日間」となった。フジタ社員は当初4人が拘束されたが、3人は9月30日に解放された。1人だけ拘束を続けていた高橋さんを「拘束19日」で解放したことで、日本人の拘束は「報復措置だった」との疑いの声が、改めて高まる可能性がある。

中国メディアは、高橋定さんの「居住監視」解除について、事実だけを短く伝えた。(編集担当:如月隼人)

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転載終了

何はともあれ、解放は良かったと思います。個人的にはタイミングを同じくして「内閣官房報償費」(いわゆる機密費)からお金が支出されていないか懸念が残りますが。

独裁政権と言うと軍部が政治も掌握する軍事独裁政権が連想されがちですが、中国は中国共産党が軍部をも掌握するまさに「一党独裁政権」であることは、誰の目にも明らかなことです。対日のレアアース輸出を事実上規制していること、そして今回のフジタ社員の不当な拘束には法律によらない判断があり、中国共産党の指導部による関与していたものと考えられます。

法の裁量を超えた規範意識のない中国のふるまいは度しがたく、本来なら国際社会から孤立してもおかしくないものです。今でこそ人民元安や巨大市場から強気な態度を批判から守っていますが、これらの中国の強硬な態度は将来大きな禍根を残すことになるでしょう。一刻も早い民主化が望まれるところですが、中国は人権弾圧も非常に露骨で歯止めがなく、急激な変化は難しいのでしょう。


中国、民主派の行動監視を開始 ノーベル平和賞で緊張
共同通信 2010/10/09 19:29
http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010100901000660.html


これらの弾圧は、北朝鮮が金一族体制の崩壊を最も恐れているのと同じく、中国共産党指導部が民主化をもっとも恐れていることの証左とも言えるのですけどね。

中国でノーベル平和賞を受賞した劉暁波と言う人物は、中国共産党がタブーとして国民から情報をシャットアウトしている「天安門事件」で功績を挙げた人物のようです。天安門事件と言えば当時は日本の報道でも流れたので30代以上ならご存知のかたも多いと思いますが、人民解放軍(国軍でもあるがもとは中国共産党の私兵)による凄惨な武力弾圧の様子を思い浮かべてしまいます。ノーベル平和賞受賞の知らせを受けて国際社会や各国の首脳は、中国への非難と劉氏の解放を求める態度を明確にしています。しかしながら日本政府は批判も解放要求もしておらず、弱腰どころか主体的・大局的な判断を失っていると言わざるを得ません。

レアアースに始まる貿易上の関係や尖閣諸島での主張の違いなど、今後、より複雑化・明確化していく日中の懸案事項は、中国の規範意識や自浄能力が結果を大きく左右することは間違いありません。日本はかつて「良識あるアジアのリーダー」としての役割を期待されていましたが、今となっては中国の巨大さに見る影もありません。この巨大で高圧的な隣人に日本がどのように関わっていくべきか、国家の大計となるその戦略を見つめなおす――あるいは一から構築しなおす必要があるのではないでしょうか。

天安門事件で思い出しましたが、中国がひた隠しにしたがっている近現代の凄惨な事件に「文化大革命」があります。そこからつい盛大な笑い話としてこの件を思い出してしまいます。

事業仕分けについて、当時の行政刷新相の仙谷氏の発言
「政治の文化大革命が始まったのではないかと――」

文化大革命を美談にしているこの発言は、不勉強極まりなく、しかも中国共産党の立場と同じであり、不幸にもこの武力弾圧で亡くなった人のことを思えば、政治家が口にしていいものではありません。日本が他国からどのように見られるか、それを考えただけでも仙谷氏の発言は軽率であったものと思いますが、みなさんはいかがでしょうか。彼を選出した選挙区には是非ともこの事実を議論していただき、政治家を選出することの重要さを改めて認識していただきたいと思います。

日中はこれから待ったなしの正直なぶつかりあいを演じていくことになります。

どうすれば日本が「良きケンカ相手」として中国と肩を並べることができるのか、私には皆目見当もつきません。しかし中国と対等に会話をすることができず、逆に卑屈な尊敬語でおもねることしかできないような政治家は、日中の健全な戦略的互恵関係にはむしろ逆作用を表すのではないでしょうか。

そして政治家は「家庭における父親」のような存在であることを自覚し、「家族」である日本人の国益を考えながらじょうずに他国とケンカしていってほしいものですね。

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