ページ

2010年10月4日月曜日

天下り

公務員のイメージ悪化に一役買っているのがこの言葉

しかしながらメディアはともかく民主党の「天下り糾弾」までがやや焦点のずれたものです
政権交代してからはなりを潜めていますが、以前の的外れな官僚たたきは聞くに堪えませんでした

天下りの何がいけないのか、最初のテーマではその本質に迫って見たいと思います

まずはこちらをご紹介

変節に反省の弁を
『天下りがいかに大切か、首相になって分かったと反省の弁を語ってほしい』
(渡辺喜美みんなの党代表が、鳩山首相(当時)の公務員制度改革に対する姿勢を、海兵隊は沖縄に必要だとの方針に転じた首相の発言になぞらえて批判)
2010.5.19日本経済新聞2面「寸言」より

あまり報道されなかったので念のため下線部の説明から
以前の鳩山首相は次のようなことを言っています

「昨年の衆院選当時は、海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった。学べば学ぶほど(海兵隊の各部隊が)連携し抑止力を維持していることが分かった」2010.5.4MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100504/plc1005041845021-n1.htm


氏のこの発言のツッコミどころは非常にたくさんあるのですがそれは置いといて

渡辺氏は公務員制度改革を、かつて与党の立場で担当していました
公務員の処遇を見直していた人物が言外に「天下りが大切」であると公言したのですから、天下り=悪という単純な図式にはあてはまらないことは、なんとなく伝わるかと思います

もともと天下りはシステムとして「中央省庁が斡旋するもの」でした
それはなぜか

国家公務員はピラミッド式に組織を構成しているからです
10人を同じ年に採用したとして、だいたい横一列に昇進していきますが、ポストは10人全員に用意されているわけではありません

そこで、「天下り」や、ここでは説明しませんが「わたり」が仕組みとして発生しました

公務員は解雇ができない(懲戒による免職はありますけど)ので、こうした方法で外に出していたのですね

そうとうな深夜に及ぶ業務を、役職のある者や若くない者が担うには身体的にも精神的にもキツいと思います
組織の新陳代謝は常に行われるべきだと思いますね

ところで鳩山首相のとき、天下りを一切認めないとした一方で来年(2011年)4月の新規採用人数を前年9,112人から半分に抑制する方針が決められました

「天下り斡旋の全面禁止」を打ち出した時点で予想していましたが、これは国家公務員を目指している大学生から見れば倍率がそれまでの2倍に上がる、過酷で一方的な宣言でしたね
この就職氷河期の再来といわれる時代に、知識人や当の学生らから反感をもたれる結果となりました
閑話休題
では天下りは何が問題なのか
賃金や報酬が正当な水準なのか、第一義的にはここに集約されるものと思います

有能だったら高給取りだって構わないでしょう、と言うのは極論かも知れませんけど

と言ってもキャリアとしての知識や経験を民間企業が重用するとはあまり思えませんね
どんなに有能でも、企業の求める人材とは一致しないのでは?

ほかにも問題点はあるのですが、波及しなきゃ行けない話題が莫大になるので、それは要望が多かったらやりたいと思います


つい先日、首相が鳩山氏から菅氏に変わり、方針がどうなるのか気になるところです
官僚を「大バカ」(2010.6.9MSN産経ニュース)と呼ぶほどお嫌いな幹首相ですが、その処遇をめぐっての考えはあまり耳にしたことがありません

公務員改革大臣に玄葉氏をあてましたが、兼任ですのであまり専心させるつもりはなさそう?
ちなみに民主党は2009年の大勝を収めた総選挙で、国家公務員の総人件費を2割削減することをマニフェストでうたっていました

日付が変わってから仕事を終えるヒラの職員が霞ヶ関にはどれだけいるのか、また2割削減と口にすることでどれだけの有能な人材が逃げていくのか、3,000万円の報酬を下げる議論を一度もしない国会議員のセンセイがたには分からないのでしょうね

2010.6.9アップ
2010.6.12微修正

0 件のコメント:

コメントを投稿