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2010年10月4日月曜日

郵政民営化

「郵政選挙の大勝利」の鳴り物入りでスタートした民営化の道のり

自民党をぶっ壊すといった古泉純一郎氏は宣言どおり自民党をぶっ壊すことに成功しましたが、改革が巻き戻されそうになっている今日までは予想できていなかったのではないでしょうか

結論が出ていない現時点で文章にまとめるのはいささか拙速な気もしますが、酒の肴にするための議論のポイントを押さえる、くらいの気持ちで読んでいただければちょうどいいと思います

まず挙げなければいけない焦点はこれでしょう
・24万人もの職員が民間人になり、公務員の削減がなされる?
・民営化でサービスが良くなる?
・財政投融資がなくなる
と言う点です

三つ目の財政投融資は古くから郵政事業の問題点として言われてきたものでしたが一般には耳慣れない単語ですね
少なくとも民放では聞いたことがありません

順番に整理してみましょう

一点目、24万人もの職員が民間人になり公務員の削減がなされる?
これはそのとおりなのですが、気づかなきゃいけないのは「それで?」ってことです

もともと郵便事業は独立採算が取れていました
つまり税金は注入されていなかったのです

なので公務員が削減されても、それで国家の経営や財政にはなんら関係ないんですね
もうその頃には散発的に公務員バッシングが始まっていたので、公務員が削減されるとなって世論は一気に傾いた記憶があります

この理屈は民営化の是非の議論ではどうでもいい部類に入ると思います
私自身はその後「小さな政府」を標榜し始めるきっかけになったと感じているので、「民間にできることは民間で」の掛け声は重視しています

二点目、民営化でサービスは良くなる?
法的な縛りがなくなる(緩くなる)ことは間違いありませんが、公共性が保たれるかどうかが最大の焦点となりました

過疎地、つまり田舎でもちゃんとサービスをやってくれるのかってことです
採算性を考えたら「もとを取れない仕事はしないよ」となるのが民間企業ですから、当然の心配ですよね

これはあくまで極端な例ですが、郵便配達のお兄ちゃんが通帳や通調印、お金(かんぽの掛け金と思われる)を持っていってくれなくなった、なんて話もあります

郵便配達は「郵便事業会社」、貯金業務は「ゆうちょ銀行」、保険業務は「かんぽ生命保険」と別の会社なのですから当然と言えば当然なのですけど
ちなみに後者二つの会社は窓口業務の「郵便局」に業務委託されていたと思います

で、重要なのはそれを含めてサービスは低下しているのか、ってことですよね
こればっかりはみなさん自身の感覚で自分なりに答えを見つけるほかないと思います

逆に良くなっているかどうかも、正直関心がないので知りません

三点目、財政投融資がなくなる
メディアを問わず、どの解説でも最後に来るのがコレ(笑)

財政投融資とは、ざっくり言うと「国が郵貯・簡保に借金して行う事業」ってことです
350兆円と言われる国民のお金を使って、国民やメディアが目のかたきにする道路建設や住宅開発などを行っていたんですよ

借金漬けの国が地方に道路を作れる仕組み、そしてそもそもの借金漬けになった理由の一端にもなっています

また、郵貯と簡保は国債の引き受け手になっているのも見過ごせない点ですね
こっちは民営化でも変わらない可能性がありますが


郵政民営化でポイントとなる点は以上です
余談ですが現在話題になっている民営化見直しについて、要点を指摘してみたいと思います

・郵貯の預入限度額の1,000万円から2,000万円への引き上げ
・簡保の加入限度額の1,300万円から2,500万円への引き上げ
・一時的に凍結されている郵政株の売却(議決権を睨んでその後も株を3分の1ていど保有し続ける見込み)

いったいこれは誰のための改正なのでしょうね
郵便職員の身分が大事じゃないとは言いませんが、公共性を保つためとしてもあからさまに「郵政を強くするための改正」ばかりで、これでは公益性が問われ、国家の姿勢として本末転倒です

全国郵便局長会(旧「全国特定郵便局長会」)からの全面的な礼賛を受ける国民新党
今朝方、その国民新党の代表を務める亀井氏が、菅内閣を離れるニュースが淡々と報道されました

今国会で郵政改革法が成案とならなかった責任を取っての辞任とのことです

しかし、後任に同じく国民新党の幹事長を推挙するなど、表向きの「引責辞任」とは別の絵が見えてきそうです
また参院選のあとにすぐ臨時国会を開いて郵政改革法案を審議するという「覚書」を取り交わし、選挙協力は継続するという内容には仰天しました

完全に私見なので披瀝はしませんが、「参院選」のキーワードひとつで全てがつながる気がしてなりません
本当にいったいこれは誰のための政治なのでしょうね

郵貯の預入限度額、簡保の加入限度額、ともに一度上限を上げてしまうと元に戻すことは至難の技でしょう

銀行、保険、両方の業界から正面切って非難されているのですから、もう少しゆっくりと審議してもらいたいものですね

まぁ私自身は、銀行も保険も両方とも嫌いですけど

2010.6.12



2010.6.20

見落としていることがあったので追加します

焦点として挙げた3点のほか、民営化されることで課税対象者になることはわりと重要でしたね

財政に影響がないと申しましたが、固定資産税や事業税なども課されるようになるのかな?と思います


追加ついでに
電話料金などで数円単位の「ユニバーサルサービス料金」なるものが明細に載るようになりましたね

みなさんご存知だと思うので説明は省きます

私はぶっちゃけると過疎地のサービスが低下することもやむなきことと考えていますが、そのサービス水準を維持するためなら、同様のユニバーサルサービス料金がほかのサービスに加算されることもやぶさかではないと思います

丁寧な説明と理解を求める努力が前提ですけどね

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