ページ

2010年10月4日月曜日

外部に業務委託されるジャーナリズム

少し本論とは違うのですが、「ジャーナリズム」ってくくりで以下の記事を紹介します

中国スト、どうなる官製労組(ビジネスリーダー) 論説委員 飯野克彦 
5月半ば以来、中国・広東省に点在するホンダ系部品工場で賃上げを求めるストが相次いだ。中国では近年、労働争議が急増していたが、今回は世界的に注目を集めたのが、かつてない特徴だ。中国のメディアが大々的に報道したためである。

従来、中国のメディアが労働争議を具体的に報じることはほとんどなかった。今回のように微に入り細をうがった報道が飛び交うのは、空前とも言える。情報統制が厳しい国なので、報道の背景に共産党政権の姿勢を読み取るのは難しくない。
 2010/6/18 日本経済新聞
私は率直に、日経新聞らしくない記事だなぁと思いました
いくつか理由があるのですが、それは以下のような点からです

・タイトルで「官製労組」というものの存在に触れている
中国にいくつもある外資系企業でストが相次いでいるのは、新聞を読んでいる人はすでにご了知のことと思います

しかしこれが「官製」――つまり裏で国家が糸を引いていると言うのはデリケートな事実なのか、あまり新聞社は熱心に報道していませんね

労働組合が官製というのも日本人からは信じられない事実です
(...と言っても日本も今、力関係はむしろ逆ですが国と労組の蜜月関係がありますけどね)

最後の一文で「共産党政権が世界へアピールしているのだ」と『におわせ』ているわけですが、奥歯に物が挟まったような経済新聞らしからぬ物言いだと感じました

・「官製労組」と言うマイナーでセンセーショナルな言葉をわざわざ持ち出しておきながら、記事の中では説明がないどころか言及すらない

政権が主導して賃上げ圧力を加えていることをタイトルで指摘しておきながら、文中での焦点は政権の目論見がどこか、警戒を呼びかける内容です

題と文が一致しない
論説委員にしてはお粗末なような、それとも記事の中身の差し替えでもあったのか、いずれにしても疑問の残る記事でした

実際、ストや労働争議は、この時点ですでに終息しつつありましたし
(少なくとも連日続いていた中国国内での報道がなくなった)


官製労組の活動は賃上げ要求圧力だけではなくて、身内である別のスト参加者の行き過ぎをも沈静化したりする、なんて話もあるそうです

中国は絶対に民主化しない、してはいけない
恐るべき官製労働組合~「中国株式会社」の研究~その62
2010.06.11 
JBpress
JBpressを読んでいると、その官製労組は「適度な」とでも言うべき「ストのあたり」を探っていることを示唆しています
(JBpressの記事は毎度読み応えがあるんだけど、時間が惜しいときは長く感じる...A^^; )


今日の私はジャーナリズムに対する猜疑心と反目感情で話が長くなりそうですよ

さぁ、新聞社の取材力を検証したところで(してないけど)、そろそろ本題へ参りましょう
ターゲットはテレビ局の報道番組です

ニュース番組がみずからの取材力を切り捨て始めたのは、いつごろだったでしょうか
私は恐らく、ニュース番組でありながら新聞を紹介する不埒が横行し始めたのと同じ頃だと思います

それは委託を受けた番組制作会社が取材費をケチったから――それだけではありません
(報道番組までもが委託だの下請けだので外部に回されていると聞いたとき、テレビ局にジャーナリズムがないのだと知ってとても大きな衝撃を受けました)

もちろん取材費の切り詰めすなわち取材力の切り捨てが、ジャーナリズム凋落の直接の原因と考えていますが、その背景にはテレビ局から制作費下降の圧力があったのは明白です(カンですけどね!)

新聞記事を取り上げる→テレビで見た人が購入→売り上げに貢献した!
なんて言って、番組制作会社は新聞社からお金をもらってそうな気がするんですが、私だけでしょうか

ともあれ、取材力や分析力を有しない(もしくは低い)テレビ局の報道番組は、おしなべて単調で内容に乏しく、しかしそれをごまかすためにやたら情緒的で扇情的ですから見る気がしません
(かといってNHKみたいに潤沢な資金があるところが、報道番組内でほのぼの路線を敷いているときは「オイ、そんなことに金を使うなよw」と言いたくなりますけどね)

この熱心ではない報道者たちをうまく利用したのが、郵政選挙に代表される「古泉劇場」ですね
今でもあれが大成功で斬新に感じるのは、この手法がいかに現代の報道にマッチしているかを物語っていると思います

その手法の優れている部分を私なりに洗い出してみると
・情緒的、扇情的
・「敵」を明確にし、分かりやすく攻撃する
・論点を絞る
・大きくて誰の目にも届く錦の旗を掲げる
・誰を配役するかを意識する(これに限ってはほかの誰かではなくて「古泉一人」を貫きましたね)

気づいた人いますかねぇ
これって、去年の政権交代劇にも通じているんですよ

4年しか経っていないのに同じ徹を踏む日本人、大丈夫ですか?

信念を持って、確信に基づいて投票したのならそれが「日本人の選択」です
ですがこれだけ揺り戻しが大きかったのは、また踊らされた人が多数いるわけですよね

日本のジャーナリズムは滅びつつあります
しかしそのことに気づく人は、あまりにも少ない

テレビ局は傲慢で横柄な「他人任せの報道」を改め、世界のあるがままの姿を捉えるための努力を積み重ねていくべきです
そして、報道のあるべき姿を希求していくべきです

そのためには何が必要か
私たちには何ができるのか

私はそのためのたったひとつの、それも気が遠くなるような方法を知っています
ですがここでそれを高説する愚を犯したりはしません

代わりに伝えたいことがあります

毎日きちんとニュース番組を見ていますか?
あなたが毎朝見ているそのニュース番組、本当にニュース番組ですか?

新聞のテレビ欄では、ニュース番組の前には「N」と書かれているんですが、まさかニュースを見ているつもりでエンタメ番組を見てないですよね

ニュース番組はどこへ向かうものか
それはきっと、あなたが見ている方向へと進路を取ることでしょう

刹那的な楽しさばかりを求めていては、とんでもない方向へ行きかねません
いろいろな情報に触れてその真贋や価値を見定める能力を育て、あなたが目指すべき方向を見つけ出してください


...え? 時間がもったいない? どうやっていいか分からない?

なぁに、80年もある人生だ
半分遊んだって40年もあまるんだし、気長にいこうや

2010.6.25

0 件のコメント:

コメントを投稿