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2010年10月4日月曜日

大人がほしがる子ども手当

これほど問題の多い法令も珍しい

wikipedia「子ども手当法」から問題点を表題だけ出してもこれだけあります

  1. 財源の問題
  2. 扶養控除・配偶者控除廃止による負担増
  3. 受給対象外問題
  4. 海外に子供を残してきた外国人労働者にも子供の人数に応じて支給
  5. 国外の外国人に約10億円が支給される(日本に居住する日本国籍の子供でも両親が海外に居住している場合は不支給)
  6. 人数制限
  7. 不正受給防止策の問題
  8. 税金のばらまき
  9. 公平性
  10. 期間・金額の不足
  11. 年齢と学歴の混同
  12. マニフェスト・報道
  13. 行政機関
  14. 条文
  15. 出生月による格差


この中で特に重大な問題を拾い上げます

財源の問題
財源は初年度で2兆2500億円、翌年からは倍の4兆5000億円 私が聞いたものでは初年度2兆5000億、満額支給で5兆5000億でしたが
財源には扶養控除や配偶者控除などを廃止 右手で子ども手当を差し出し、左手で財布を抜き取るわけですねぇ...それでも足んないですけど
 なお、市町村はみんな住民税課税の有無がすなわち国民健康保険税や後期高齢者医療保険税、介護保険料の額の算定基準にしていることと思いますので、来年4月にはそれらの税金の担当窓口は「税金が上がったんだけど!」という問い合わせでたいそう混乱することでしょうね
国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)などの国際経済機関からも見直しを求められている。
国際機関から注文つけられることなんて初めて聞いたんですが、今までもあったんですかねぇ

扶養控除・配偶者控除廃止による負担増
・子ども手当をもらえる分を差し引いてもマイナスになる
これ知らない人がけっこういるらしいですね
まぁ自分には関係ないんですけど

海外に子供を残してきた外国人労働者にも子供の人数に応じて支給

(ただし枝野幸男行政刷新相(当時)は「対応を間違った(中略)来年度からは制度を変える準備作業に入っている」と発表、と記述があります)
・実例として、2010年(平成22年)4月22日に兵庫県尼崎市の市役所窓口で、韓国人男性が妻の母国であるタイに養子縁組した子供が554人居るとして、554人分の子ども手当(年間換算で 8642万4000円)の支給を申請しに来ている 結論としてこの申請は却下されていますが、厚生労働省ホームページによると「母国で50人の孤児と養子縁組を行った外国人」については支給されないらしいので49人分だったら、実務を担当する市町村の窓口は杓子定規に支給すると判断していた可能性が高いです

税金のばらまき
・子ども手当で景気対策になるという主張もある一方、「貯蓄に回すという意見が多く、子ども手当に対しての経済効果は薄い」とする調査結果もある
2009衆院選マニフェストで民主党は雇用・経済対策に乏しいと指摘されたとき、急に子ども手当が経済対策に位置づけられたのには面食らいましたが、それすらもすぐに否定されていました
またおもしろいのは「民主党は与党の児童手当拡充案に反対を続けていたが、一方で、子ども手当法案を推進していることには公明党から批判の声が出ている」ってとこですね



子ども手当は誰のため


政権交代後に制度の細かな検証よりも法制化(=支給)を急いだのには、その後に控えていた参院選を見据えた「ばらまき」であることは誰の目にも明らかでした

支給要件に所得制限が導入されなかったのも、「所得制限について所得の把握を知るための費用のほうが所得制限以上の負担になるとして否定」していますが、

それならなぜ所得控除式にしなかったのか

最近よく「給付つき税額控除」が取りざたされていますが、先述したとおり「扶養控除・配偶者控除」と引き換えに制度を導入するのであれば、市町村の手間(=人件費)もかからず、財源としても付け替えが同時にできる「所得控除」の方式にしなかったのは説明ができません

「選挙対策のばらまき」の批判がかわせるなんて思っているのでしょうか

最近はテレビでの子ども手当の報道が少なくなりましたが、そのたびに街頭インタビューでは「子ども手当よりも保育所の拡充をしてほしい」という声があって、うんうんと感嘆していたものです

これから少子化で子どもが減っていくので保育所の新・増設は難しいだろうと思っていましたが、それでも子ども手当が国民の「最大公約数」的な要求を満たすものにはならないと感じていました

ならばどうするのか

廃止しなさい

それでは芸がないのですが、2兆5千億円もの巨額を投資しておきながら目的があいまいで、しかも数少ない目的である「経済対策」にすらつながらず結果を出せない

脱小沢を掲げることで内閣を組織して高支持を受け、今また脱小沢をさらに色濃くした与党を築きました

幹事長室が主導したマニフェストの修正を辞さないとする菅氏は、当然と言えば当然の現実路線に立ち返ることができるのです

政権交代を果たしたことは、既得権益やムダを一切廃し、理想論を言えば新しい政権のあり方にもっとも近づいた形にあると思います

「ばらまき型」の政治で国民の目をごまかすのではなく、国益を基幹に据えた現実的な政策で勝負してほしいと思います

また私たち大人も、目先の「手当」につられることなく、それがどこから出ているお金なのかや将来性のある施策なのか、それが選挙対策の美辞麗句ではないかなど、きっちり吟味して是々非々の声を上げていきたいですね

子どものためを標榜するのなら、私たちは大人の立場をとらなければならないのですから

2010.9.23

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