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2010年10月4日月曜日

農業は日本を救うか

このタイトルの記事を書こうと思ってから、農業に関するニュースや個別所得保障制度についての情報に周波数を合わせていました

個別所得保障制度は、前回の池上彰氏の「学べるニュース」でも取り上げられていましたが、重要な視点が抜けていたので少々不完全燃焼ぎみに思っていましたので、本腰をあげてまとめたところです

さっそくですがお話しさせていただきます

政権交代に貢献したとされる文字どおりの「票田」である農家の方が一人でも多くこの記事に触れ、このタイトルに対して自分なりの答えを見つけてほしいと思います

もちろん「お国のために土いじりをやってんじゃねぇよ」って方もいると思いますが、仮に生業が傾国の道筋を描いているのだとしたら、いかがでしょう

断言するわけではありませんが、専門家も指摘する個別所得保障制度の矛盾点について、説明させていただきます

国は日本の低い食料自給率を引き合いに農家への補助を行ってきました

古くから続いてきた「減反政策(田んぼの作付面積を縮小する政策)」と引き換えに補助を続けてきたことは、「ばら撒き」ではあったことも見過ごせない事実ですが、そうしなければ米が大量に作られて値段が暴落し、農家の収入がなくならないようにするためのものでもありました

ちなみに話の本筋からはそれますが、野党が農家への手厚い保障(補償か?)を「ばら撒き」として非難してきたことは、忘れるわけにはいきません

その非難が契機かは分かりませんが、政府は戦中から続く農家への「ばら撒き」の幅を徐々に縮小していきました

票田を狭めるような、みずからの首を絞める「農地集約」を進め、農業の効率化をなかば強制的に求めてきました

そこに目をつけたのが民主党の個別所得保障制度です

自民党が続けた「ばら撒き」を非難し続けた彼らが、こっそりと農家を集めてこの制度の説明会を開いていたというのだからあきれたものです

主食などまで外国に頼っている日本がいびつなのは認めます

ですが「農家が大事だから」と手厚く保障することが日本の食料自給率によい影響だけだと言うなら、それは賛同できません


個別所得保障制度は日本にマッチしない


食肉や穀物がEPAやFTAなどによって国家間で自由貿易化されると、国によっては暴動さえ起きることがあります

日本は「食糧(特に主食についての食料)」が不足したときに限って、外国からの輸入拡大を認めます

一時期「タイ米」の輸入がありましたが、食糧不足が起きない限り、基本的には日本の農家は外国の安い農産物から守られています

日本は先進国で諸外国と比べると相対的に人件費が高くつき、しかも小作農が多くて効率が悪いので、日本の農作物は国際的な競争力に欠けます

特に昨今の日本人は食べ物に限らず商品の良し悪しが値段でしか判断できないため、中国の安い人件費に裏付けられた冷凍食品は、調理の手軽さもあって市場をほぼ独占しています

これからはそうした国際競争に、日本の農業がさらされることも多くなるでしょう
そんなとき、個別所得保障制度で手厚く守られたいわば「温室育ちの農家」に、勝ち残るだけの実力は残っているでしょうか

しかも小作農から農地集約へシフトし始めていた日本の農業と、この制度は真っ向から相反するものでもあります

ちなみに農地集約とは意味が広範ですが、言ってみればこれは政府が農業の効率化を目指して導入したものです

小作農、つまり個人で小さな田んぼを持っていた人たちが自分で、または誰かにお願いして管理を行い、大型機械を導入し、アメリカほどではなくとも「大きな農家」になることで収益力を高めることが、日本の農家には求められていました

ところがこの制度の導入で、小作農の方たちは「補償がもらえるなら」と農地集約を拒み始めました
農地集約は急ブレーキがかかったのです

そうなるとこの制度は「農家の人たちのため」ではあっても、「農家以外の人たちのため」にはなりえません

後継者のいない農家、つまりこれは言葉を選ばずに言えば、将来性のない産業へ、大量の税金を投入することになります

公益性の問われる税金の使途に、農地集約ではなく個別所得保障制度があることに、私ははばかることなく正直に反対します


日本の農業、そして国民の、これから

ここで矛先が変わりますが、政見交代の前も後もコケにされ続ける農協には、もう少ししっかりとしてもらいたいです

ずっと農業を見つめ続けているわりには農業の将来についての議論に存在感がなく、まるで責任を果たしていないように見えます


最後に、かつてヨーロッパにあるどこかの国はその昔、国民の目を政治から遠ざけるために娯楽づけにして、放免となった政治は腐敗が進んだと聞きます

日本はテレビをつければ娯楽に満ちており、また個別所得保障制度だけでなく高速道路無料化や子ども手当てなど、補助金づけにもなろうとしています

自己責任論を政府が言うとバッシングを受けますが、全て国を当てにするのではなく、自分たちで自分たちをどのように育てていくのかが問われているような気がしました

農業のことなので、今日は真面目な話をしました


2010.9.14

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