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2010年10月4日月曜日

“後期”高齢者医療制度

65歳まで→前期高齢者
65歳以上→後期高齢者

(↑訂正。75歳以上ですね。偉そうにすみません)

この名称を批判していた国会議員は(一般人は知らなくても無理はないですけど)、国民の代表としてていどが知れていると思う


さて、「2013年度には廃止」する予定の後期高齢者医療制度ですが、大変興味深い中間報告がありましたのでツッコミ入れていきます

その前に社会で働くみなさん、特に自営業や公務員のみなさん
ご愁傷さまです


新高齢医療「75歳以上86%国保に」…中間報告

厚生労働省の「高齢者医療制度改革会議」(座長=岩村正彦・東大教授)は20日、現行の後期高齢者医療制度に代わる新たな医療制度の中間報告をまとめた。

新制度は〈1〉75歳以上の高齢者約1200万人(86%)は国民健康保険に、約200万人(14%)は企業の健康保険組合など被用者保険に加入する〈2〉国保の75歳以上の会計については現役世代と別に「都道府県単位」で運営する〈3〉医療費の1割を高齢者の保険料で賄う仕組みを維持する――等が柱だ。

ただ、新制度を運営する費用の裏付けとなる財政問題は中間報告後の検討課題として先送りされた。厚労省は今後、財政試算を会議に提出するが、試算の結果によっては制度設計が難航する可能性もある。

(後略)

2010.8.21 読売新聞 http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=29727


政権交代してから「○○は先送り」ってのが、とみに多いような気がします
官僚を悪とする論調もすっかり消え去りましたね

本題です

医療費として私たちが支払うお金って、二重ないし三重に払ってるって言ったら大仰でしょうか

①税として支払う
国民健康保険税、社会保険料(ほかにも政府管掌健保など)として、全国民が納付(ただし生活保護受給者を除く)

国民皆保険とは保険に「みんな加入している」より、「みんな支払っている」ってほうが意味合いとしては近いような...

②医療機関窓口で支払う
病気に罹ったとき、歯医者に通ったとき、窓口で支払う

③②で支払った金額の残り7割
医療費の7割分(人によって違う)は公費の投入として税金から支払われる

病院にはいかないで自力で治すって人も、少なくとも①と③で二重に支払ってるんです
しかも「公費」と一口に言いますが、これには国費、県費、市町村費が含まれますので、見ようによってはさらに増えます

こう悪意を前面に出して書くと、(同じ制度ではないにせよ)アメリカで国民皆保険制度を導入しようとしているオバマ大統領が強烈なバッシングを受けているのも頷けるでしょう

自由主義の風潮が強いアメリカですから、それも無理からぬことです

冒頭で「社会で働くみなさん、特に自営業や公務員のみなさん ご愁傷さまです」と述べましたが、皮肉を交えて説明させていただきます


後期高齢者医療制度のそもそもの目的は、まず間違いなく「若い世代の医療費と高齢世代の医療費を切り離すこと」でした

医療費を含んだ社会保障費が、毎年1兆円ずつ上昇する主な原因は、高齢者の社会保障費です

今でさえ社会保障費の過剰な負担で、若者が自由にできるお金が少なくなっている現状があり、後期高齢者医療制度による囲い込みをしなければ、将来的にはもっと負担が増大していくことが確定しているのです


上記の読売の記事の中でこう記述がありました

〈1〉75歳以上の高齢者約1200万人(86%)は国民健康保険に、約200万人(14%)は企業の健康保険組合など被用者保険に加入する

後期高齢者医療制度は官僚がその知恵を絞って作り出した“苦肉の策”だったでしょう
それを真正面から否定した民主党は、代替案として最高の案を作成する必要があります

まだ中間報告に過ぎませんが、この報告からはずれた路線に進むことはまずないでしょう

(1)を読み解くなら「老いも若いも仲良く負担しましょう」です
少子高齢化が進む日本において、人口比から言ってこれはおかしなことです

一所懸命に働いてお金を稼いで、源泉徴収票にあらわれる「社会保険料」の金額に愕然としたことはありませんか?

給料は変わらなくても年々上昇していく社会保険料ですが、今後はその伸び率がさらに上がって生きます

高齢者を切り分けなければもっと高い伸び率でしょう
まして「86%が国民健康保険」に加入となれば、その影響はとても高いものになります(逆に言えば企業の健保には14%だったのは企業の反発を少しでも和らげる意図があったのでしょうね)

またこの記事では触れていませんが、公務員はもともと切り分けられています(多分...)

役所や警察、消防などは、一般企業と違って派遣やアルバイトなどといった非正規職員(=国保や政府管掌健保)の比率が格段に少なく、そればかりか、オフィスの機械化(高度化)が遅かったためにやたらと職員が多かったのです

すでに大量退職の時代に入っており、公務員の数はすでに過渡期を過ぎています

役所の中には高齢者はいなくても、公務員の健康保険(=共済保険)はこれからどんどん高齢化が進んでいきますので、勝ち組は企業健保だけになりますね

今は就職においては公務員志向がすごいらしいです
市役所ですら倍率は20倍くらい?

しかし今後は、なんでも国家公務員給与が2割削減になるそうですから、倍率は下がりそうですね(国家公務員と地方公務員の給与は密接な関係にある)

ところで「公務員の給料は高い」って誰が言い出したんでしょうかねぇ
よく話題になる人事院のホームページにはこんなことが書いてあります



なぜか画像...A^^; 文字じゃないから添付に一苦労ですよ
これによると民間準拠が原則であるらしいのですけど、一体どういう統計から算出してるんでしょう

それは分かりませんが、おっさんばっかりの役所の平均給料は総じて高くなる傾向があることは、フェアに申しぞえる必要があると思います

あとは、「あんたの給料が低いんじゃねぇの?」くらいしか思いつかないですね
まぁそれも今後は給与が2割削減になり、共済保険料が割り増しになるのでは、優秀な人材は公務員ではなく大企業にだけ集中するでしょう

そうなったら官僚もアホばかりになるので、ようやく「政治主導」が確立するのでしょうね
当然、政治家がそれよりアホだとどうしようもありませんが


2010.8.21

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